「ユース昇格見送り。そして新潟へ」少年ムサシものがたり vol.7

「ユース昇格見送り。そして新潟へ」少年ムサシものがたり vol.7

立志編 4

 

中学3年の冬。進路が決まる時期となった。

 ユース昇格者発表。 柏のクラブが下したのは 「ユース昇格を見送る」との判断だった。

 

 驚いた。確かに今は調子を落としているが、この状態だけで評価されたのだろうか?「いままでの実績は関係ないのか…」。 私自身取り乱すくらい動揺した。しかし、少年は淡々としていた。むしろ新天地への希望を膨らませていた。

 

 少年がユースに昇格しない話は全国に知れわたり、Jクラブはじめ、名門高校など、多方面から声がかかった。

 

 少年はJクラブのみの希望だったため、2チームにしぼってセレクションを受けたが、結果は不合格。「コンディションが戻らない」「技術はあるが走れない、動けない」と評価された。

 

 年明け。いよいよ行き場がなくなった時に、2つのJリーグチームから声をかけてもらった。少年の希望で1チームに絞った。新潟である。

 

 この頃から徐々にコンディションが戻り、普通にトレーニングをこなせるようになってきた。前のように走れるようになった。新潟のセレクションでは、即日合格という結果をいただけた。

 

 今考えてみると、この体調不良も所属チームのユース昇格見送りも全て「運命」だったのかもしれない。

 

 こうして、少年とお母さんとの柏での生活は幕を閉じた。 まさに激動の4年間だった。

 

 新潟に旅立つ前日、少年は我が家にあいさつにきてくれ、久しぶりに夕食を共にした。そこでよみがえったのは、八丈島も含め6年間の思い出だった。なぜか少年の顔が見れない。

 

 心配な気持ち、寂しい気持ち、様々な思いが駆けめぐった。

 

 大した言葉もかけてやれない。伝えたいことは手紙にして別れ際に渡した。そのときの少年の手の感覚が今でも忘れられない。

 

続く

 

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