「エコノミークラス症候群」少年ムサシものがたり vol.6

「エコノミークラス症候群」少年ムサシものがたり vol.6

立志編3

 

中学3年の時には国内でもさまざまな大会があった。 最初のビッグタイトルは、「日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会」。 所属チームの少年の世代はタイトルに恵まれず未だ無冠である。

 

 この大会に出場するには関東代表8枠に入らなくてはならない。関東にはJリーグクラブが14もあり、その他アマチュアの強豪クラブもひしめく。「全国大会よりも関東予選がはるかに厳しい」と言われている。

 

 少年のチームの下馬評は「下の下」。過去の戦績を見れば当然である。 しかし、関係者の下馬評は覆される。春先から始まった関東予選で、少年は日本代表時の好調を維持した。チームを引っ張る活躍で関東優勝を成し遂げたのだ。

 

 文句なしのMVP。チームの評判は急上昇し、少年の名前も多くの関係者に知れ渡った。

 

 8月。「日本クラブユースサッカー選手権全国大会」が始まった。関東優勝の少年のチームは全国からマークされたが、少年はプレッシャーをものともせず大車輪の活躍をみせ、予選リーグで4得点。1位通過の原動力となった。

 

 決勝トーナメント進出は16チーム。1回戦は5対1、準々決勝も6対1と対戦相手を圧倒してベスト4に。両試合とも自ら2得点を上げた。いよいよタイトルが見えてきた。

 

 ここで休みが1日入った。この休みが少年にとって悔やまれることになった。それまで全力で「走り続けてきた」少年にとって、真夏の連戦は厳しかったが、緊張感が切れない日程が救いだったのだ。

 

 1日休んでの準決勝。 

 少年の身体は重かった。動けなかった。全くいいところがなく、ミスばかりが目立つ。 そして、無念の途中交代。ベンチで頭を抱え、悔し涙をみせる少年。珍しい姿だった。

 

 1対3での敗戦。3位でこの大会は終わった。

 

 残念だが、4、5月の欧州3カ国の連続遠征で少年の肉体は限界を超えていた。6月に体調不良を訴え、練習中に倒れたこともあった。

 

 精密検査の結果は、「軽度ながらエコノミークラス症候群の疑いがある」との診断だった。元日本代表FWの高原直泰選手も発症した病気で、長時間の航空機による移動などが原因となる。

 

 「疲れがとれない」「走れない」。そんな日々が続いた。指導者の評価も落ちていく。 進学を控えた中学3年の秋。コンディションは戻らなかった。

 

 続く

 

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